第15代会長挨拶 加治 初彦

米国歯科大学院同窓会(JSAPD)

第15代会長 加治 初彦                               

米国歯科大学院同窓会(JSAPD)は、アメリカで特定の分野を勉強し、帰国開業した専門医の親睦団体として80年代終わりに発足しました。その後90年代半ばからヨーロッパで研鑽を積んだ同様の先生方もメンバーとして参加し、現在に至ります。JSAPDでは、発足当初より会員が持ち回りで自身の専門分野でのトピックスを発表するというかたちでセミナーを行ってまいりました。その後団体の広報も兼ねてセミナーを公開することとし、オープンセミナーを毎年1月に開催しております。

私は、90年代を通して事務局長として会の運営と公開セミナー開催に携わってきました。この間、セミナーではEBM、インプラント、インフォームドコンセント、予防、マイクロエンドなど数多くの分野で、会員による最新の知見を取り上げてまいりました。これは現在の臨床に繋がるここ30年間の歯科の潮流を表現していることに他なりません。日本社会はバブルがはじけた90年代以降必ずしも経済的に成功しているとは言えません。結果として若い世代が内向き志向になり、留学生の数も大きく減少しています。(私が留学していた80年代半ばと比較して在米の邦人留学生は、現在はその数分の1程度と言われています)反面、歯科の分野では90年代には減少していた留学生が2000年代に入ると逆に大きく増えてきました。(これは歯科医師の過剰という業界特有の事情があったのかもしれませんが・・)結果として現在のJSAPDのメンバーは、私を含めた古い世代と、ここ10年前後で会員になった数の多い若い世代との二極化が進んでいる印象があります。私の会長としての役割は、30年続いている歴史ある団体を、若い世代の先生方にスムースにバトンタッチができるように組織の構造改革をやっていくことだと思っております。具体的には、①4年以内に執行部を全て若い世代に移行させることと、②公開セミナーの在り方の再検討を考えております。

COVID-19による一連の問題により、私たちには大きな行動変革が求められています。ポストコロナの社会では当分の間、臨床やセミナーを含めて全ての業態で今までと同じかたちというわけにはいかなくなりました。この件も踏まえて、組織改革の一環として21年1月の公開セミナーはいったん中止とさせていただき、その後についてはまた適当な時期に告知させていただきたいと思います。

最後に、もし留学を志す歯科医師の方がおられたら、ぜひ会員リストの中にある専攻したい分野の専門の先生にコンタクトしてみてください。また、もし患者の立場として専門医をお探しの方がおられたら、会員リストからお近くの専門医にコンタクトをしてみてください。きっと良いアドバイスがもらえると思います。