医科の分野が内科・外科などさまざまな専門分野に区別されているように、歯科の分野も歯科保存学(むし歯の治療)、歯内療法学(歯の神経の治療)、口腔外科学(歯を抜く等の治療)、歯科補綴学(入れ歯を作製する治療)の他にマスコミでも話題になっている歯科矯正学、歯周病学など多分野に分かれています。また、近年日本でもいくつかの分野で専門医制度が導入され、専門医による治療が行われ始めています。
私たちJapan Society of American-educated Postdoctoral Dentists (JSAPD)の会員は日本でこのようなシステムが始まる以前から歯科医療における専門医制の必要性を痛感し、各分野の専門医になるべく欧米の歯科大学大学院を修了後、専門分野の治療を掲げながら歯科臨床に携わっています。JSAPDは、会員相互間の親睦・情報交換そして学術交流を主な目的として平成元年に酒井邦明、藤本順平、田中 宏、船越栄次の各先生を発起人とし25名の賛同者をもとに結成されました。年1回の定期総会ならびに会員による講演会を行っている間にも、その会員数は着々と増え続けており、世界から集まる最新の歯科情報を少しでも多くの先生方に発信すべく、また相互の歯科臨床のレベルアップを図るための情報を公開する目的で会員外の先生方も参加できるように公開セミナーを定期総会後に開催しております。これは会員で構成される学術委員会によって、より臨床に役立つトピックス的な講演内容を提供する目的で企画・運営を行っています。さらに海外留学に興味がある方あるいは希望されている方への適切な情報提供も行っています。
このようにJSAPDは過多な現代の歯科情報をより客観的な視野で評価し、より安全で確実な満足のいく歯科治療をめざして活動しております。
(文責:藤川謙次)
歯科関係の皆様へ
米国歯科大学院同窓会( Japan Society of American-educated Postdoctoral Dentists )として1990年に故保母須弥也先生を会長として発足して、早くも20年以上が過ぎました。この会の目的や活動の方向性について、何年にもわたり議論を積み重ねて参りました。海外で苦労しながら、大学院を卒業した者達がお互いに連絡を取り合って、親睦を図りつつ、今後留学を目指す後輩達のために何か役に立てないだろうか、日本の歯科医学の発展に何か貢献できないだろうかなどという思いでこれまで活動を続けて参りました。
その思いを実現するために現在行っているのが、1年に1度の米国歯科大学院同窓会であります。
現在の活動としては、年に一度集まり、年次総会を2日間にわたり行っています。第1日目は主に新入会員の紹介とクローズドセミナーによる、出身大学や自分の専門外の分野といった垣根を越えた最新情報を意見交換したり、日常臨床における症例を通じての実体験を発表したりして、お互いにディスカッションするというやり方を行っております。そして第2日目はオープンセミナーとして、一般の歯科医の先生方に講演会という形で参加していただいています。
この会の魅力はなんといっても、さまざまな分野の専門家が一同に会していろいろな考え方を知ることができる点です。日本の歯科大学院のシステムにはないアメリカまたは欧州の基礎と臨床が直結した教育システムにのっとった効率の良い卒後教育を多数の臨床体験を通じて学ぶことができた歯科医が、お互いの知識や臨床体験を披露しあい、時には激しく討論することは、非常に興味深いとともに、今後の日本の歯科臨床の発展に役立つものと信じております。
海外の著名な臨床家を招いて講演を聴くだけではなく、日本の実情に沿った治療を経験してきた我々JSAPD会員たちの生の声に耳を傾けることで、最高に興味深い何かを感じ取っていただくことができるでしょう。
歴代会長の熱い思いを今後とも引き継いで、より充実した会にしていくために何が必要か考え、実際に活動していきたいと思います。我々同窓会員はもとより、皆様方のサポートが必要です。皆様方の忌憚のないご意見を歓迎いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
(文責:畠山善行)